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RCEPと新時代のAPACビジネス【オーストラリアの市場:Doing Business in Australia-2】

オーストラリア進出について
オーストラリアでの起業は、世界銀行によると、一般的に手続きは3日以内に完了する、とされていることから、世界の他の地域に比べて簡素化されているといえるでしょう。外国人は、個人事業主、パートナーシップ、信託、ジョイントベンチャー、または法人として、オーストラリアで事業を行うことができます。オーストラリア以外の国で設立された企業がオーストラリアで事業を行うには、オーストラリアで完全所有または一部所有の子会社を設立するか、オーストラリアで支店を登録する必要があります。

ほとんどの外国企業は、完全または部分的に所有する子会社、またはオーストラリアの支店を通じてオーストラリアで事業を行っています。

オーストラリアのVISAを取得した外国籍の人は、オーストラリアでビジネスを開始し、事業体を運営するために法的および規制上の問題を考慮する必要があります。具体的には以下の通りです。

  • 適切なビジネス構造
  • オーストラリアのどこに事業所を設置するか
  • ビジネスの知的財産をどのように保護するか
  • 必要な事業者ライセンスの取得方法

加えて、次のような法的義務についても知っておく必要があります。

  • 支払うべき税金の額
  • 労働者を雇用するかどうか
  • 従業員の健康と安全をどのように確保するか
  • オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が定めた報告・開示義務をどのように果たすのか
  • 従業員のプライバシーや企業の機密情報の保護
  • 消費者法の遵守

オーストラリアでの納税義務
30%の法人税率(2020~21年度は26%、2021~22年度以降は小規模企業(総売上高が5,000万豪ドル未満の企業)の場合は25%)と、ほぼすべての商品・サービスにかかる10%の物品・サービス税に加えて、企業には従業員とその関係者に提供されるほとんどの非現金ベネフィットに対して47%のフリンジベネフィット税(FBT)が課せられます。

オーストラリアで設立された企業は、オーストラリアの資産を処分した際の利益に対し、通常、法人税率でキャピタルゲイン税(CGT)を支払う義務があります。

給与税は、オーストラリアでの賃金総額が、従業員を雇用している関連州・地域の非課税基準額を超えた場合に支払う州・地域税です。しきい値や税率は、州や準州によって異なります。

また、雇用主は、月給450豪ドル以上の全従業員に対し、給与総額の9.5%を四半期ごとに退職基金に拠出することが義務付けられています。

オーストラリアで働く外国人居住者は、オーストラリアで得た給与所得、賃貸収入、オーストラリアの年金、(オーストラリアの税法や租税条約で免除されている場合を除く)オーストラリアの資産から得たキャピタルゲインなどの所得を申告します。

オーストラリアの労働環境
大まかに言えば、法律、産業文書、コモン・ローが(判例法)雇用法の主な源となっています。オーストラリアの大多数の従業員の雇用は、2009年公正労働法によって規定され、その他の連邦、州、準州の法律制度によって補完されています。

雇用契約の条件が、法令の枠組みで定められた最低条件に違反している場合は、無効となります。

公正労働法の主な特徴としては、全国最低賃金、10 の国内雇用基準、企業協定の導入などが挙げられます。

オーストラリアの労働事情の主なポイントは、次の通りです。

  • 書面による雇用契約を締結することは、法律上の義務ではない
  • 雇用契約は、雇用の条件を定めたものであり、契約は、雇用主と従業員のグループまたは業界における協会との間の職場協定に基づいている場合とがある。また、雇用者としての雇用契約は、独立した契約者との契約とは区別する必要がある。
  • 全国雇用基準(NES:National Employment Standards)は、オーストラリアの最低賃金と週の最大労働時間を定めている。
    2020年7月1日現在、全国最低賃金は1時間あたり19.84豪ドル、1週間あたり753.80豪ドルである。また、週の最長労働時間は、追加の労働時間が合理的でない限り、38時間と定められている。雇用者と従業員は、例えば、役割に応じて合理的な残業が必要であることなど、追加時間の合理性について合意を成立させることができる。
  • NESにより、フルタイム従業員(週38時間勤務)は4週間の有給休暇を取得可能。
    パートタイム従業員には比例配分された分の休暇を取得し、シフト制の従業員には5週間の休暇が与えられる。取得されなかった年次休暇は年ごとに蓄積され、雇用終了時に支払われる。
  • 従業員は、解雇にともなう最低予告期間を1週間から4週間の間で設けることができる。また、45歳以上で2年以上勤務している従業員には、さらに1週間の予告期間が与えられる。
    雇用契約の中に、雇用主が予告手当を退職金として支払うことができる条項を設けることができる。
  • 解雇通知は、オーストラリアの雇用法では厄介なものであるため、従業員を解雇する前に、現地の専門家に相談することが推奨される。
  • オーストラリアでは、雇用関係があっても、その従業員が作成した知的財産(IP)の所有権が自動的に雇用主に与えられるわけではない。企業の利益を守り、紛争を回避するために、法務担当者が従業員との雇用契約の中でIPに関する表現を記載していることを確認する必要がある。

RCEPと新時代におけるAPACビジネス【中国進出:Doing Business in China-1】に続く