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【アウトソーシングのおさらい-8】BPOの種類:海外進出も「お試し」の時代!日本でも話題のGEOとは?

以前、【アウトソーシングの種類】についてご紹介した際に、GEOについても触れました。

GEOは、近年急速に市場が拡大している新たな雇用の手法です。
欧米を中心とした海外企業では「リスクを最小限に抑えて一気に他国展開できる」ために、GEOを利用することは珍しくありません。

日本では駐在員の派遣が減少し、海外進出が困難になったCOVID-19以降、急速に広まりつつあります。

GEOの利用目的はさまざまですが、今回は「お試し」として海外進出ができる例を挙げててご説明します。

グローバル・エンプロイメント・アウトソーシング(GEO)とは?
GEOは新しい雇用の考え方のため、グローバルでも画一的な表現はありません。
そのため、EOR(Employer of Record)や Global PEO(Professional Employment Organization)、GEO(Global Employment Organization)などと呼ばれていることもありますが、基本的な仕組みは同じです。
日本語で置き換えて表現するならば、「海外での雇用代行」サービスとご理解いただければと思います。

GEOを利用した「トライアル海外進出」とは?

通常、企業が海外進出した国で人材を雇用するためには、現地国に法人を設け、その国の雇用法や労働法などの法律に準拠して雇用を行う必要があります。
この際、現地法人設立については、支店の設立や駐在員事務所の設立などさまざまな法人形態の選択肢がありますが、法人設立の手続きや費用は、その国の法制度により異なり、場合によっては法人として機能するまでの期間やコストが膨大となる場合があります。
さらに法人設立後は、法人運営機能として、管理部門の人材が必要となることから、1か国で雇用する社員が少ない場合には、管理コストが割高になってしまう可能性もあります。

このような課題を解決するため、GEOを利用してより早くより低コストで海外進出を実現する企業が急増しています。
GEOを利用することで、海外現地での「法的な雇用主(EOR)」の役割をGEOサービス・プロバイダが苦います。

たとえばA社がドイツに進出する際にGEOサービスを利用する場合、A社のドイツ拠点で採用する人材(Bさん)をGEOサービス・プロバイダが「法的な雇用主」として採用し、ドイツの雇用法や労働法などの法制度に準拠した形でBさんに給与を支払い、福利厚生を提供します。


そして、Bさんは「GEOサービス・プロバイダの従業員」として籍を置きつつ、A社のドイツでのビジネス拡大に一定期間1~3年程度)貢献し、ビジネスが拡大しそうな段階で正式にA社のドイツ現地法人を設立し、Bさんの籍をA社のドイツ現地法人に移します。
この時点でA社はGEOサービスを終了して「独立」するので、設立したA社の給与計算や税務などのバックオフィス業務もBさん自身が行うことになります。

「独立」後にBさんがバックオフィス業務を行う場合、Bさんはドイツの会社法や税法などに準拠して手続きを行わなければならず、Bさんの業務負担は非常に大きくなる可能性があります。
もちろん、バックオフィス業務専任の従業員を雇い入れる選択肢もありますが、バックオフィス業務のプロフェッショナルであるBPOサービス・プロバイダにアウトソーシングするという解決策もあります。

万が一、ドイツでのビジネスの拡大が期待できない場合でも、GEOを利用している間はドイツにA社のドイツ現地法人は存在しないため、GEOサービス・プロバイダとの雇用契約を終了させるだけの手続きを取るだけで、法人清算の必要はありません

企業が新たな国・地域へ海外進出をする際には、現地法人設立や現地法制度に準拠した各種対応が必須事項として長らく考えられており、それゆえ海外進出の検討が長引き、結果として進出を見送るというケースも少なくありません。

GEOを利用することで「まずはトライアルとして海外進出」し、その国のマーケットを把握した後で本格的に現地法人を設立するかどうかを判断することが可能となります。

日本では主に企業の経営企画や海外事業推進の方々を中心に利用が増えています。

GEOを利用した「越境リモート雇用」とは?
先ほどは日本からの海外進出を例に取りましたが、昨今のリモートワークでの働き方に合わせてGEOを利用する企業ももあります。

世界的にリモートワークが浸透し、日本国内であればどこでも働いて良い、という企業も増えていますが、世界中どこでも働くことを実現するためには、現地国での雇用における様々な障害があります。

GEOを利用することで、その障害をGEOサービス・プロバイダにアウトソーシングし、世界中での雇用を実現することができるようになります。
COVID-19により、入社予定の外国人材を海外から入国させられなくなった日本企業も数多くありましたが、このような場合にも、GEOのようなを有効に利用することができます。

GEOと海外業務委託の違いとは?
海外現地国での人材の雇用の方法として、フリーランス人材に業務委託をするケースもよくみられます。
ただ、個人事業主に関する法律は国によって異なるため、直接業務委託をする場合には注意が必要です。
日本でも聞きなじみのある偽装請負に該当する場合は、個人事業主ではなく従業員と見なされる場合があり、追徴課税や罰金の支払いが命じられるケースがあります。
(英語では、ミスクラシフィケーションリスクとして知られています。)
また、課税関係や著作権についても注意が必要となるため、コンプライアンス上の観点から、海外業務委託からGEOへ切り替えるといったケースも多くあります。

いかがでしたか?

すべての業種・業態・企業に当てはまるわけではありませんが、海外進出もお試しができる時代

あなたの会社の海外事業戦略にマッチすれば、GEOは有力な選択肢のひとつになり得るのではないでしょうか。

Akie Hamagishi

Akie Hamagishi

浜岸 昭江  コーポレートディベロップメント ディレクター//外資系でITアウトソーシング、ASP、クラウド関連サービスの事業開発およびアライアンス担当としてのキャリアを積んだ後、世界最大のアウトソーサーである米ADPで日本市場向けに、サービスのローカライズおよびマーケティングディレクターとしての職務を担う。 また、世界79か国との外交経験を通じてアライアンス構築にも貢献。 2016年よりトライコー・ジャパンに参画、外国企業の日本誘致および日本企業のアジア進出を、アライアンスおよびマーケティングの面から支援。