国際貿易と投資
アセアンの国際貿易は盛んで、商品貿易の総額は2000年の7,900億米ドルから2020年には約2兆8,000億米ドルと、3倍以上に増加しています。
また、アセアン域内貿易は、アセアン全体の輸出の23.5%、アセアン全体の輸入の22.3%を占める最大の市場です。
アセアン域内に次ぐ輸出の最大市場は、中国本土、欧州連合、米国、日本、そしてアセアンへの輸入が多い国は、中国本土、日本、EU、韓国、米国です。
COVID-19パンデミックがASEANのFDIに与える影響
国連貿易開発会議の世界投資報告書によると、アセアンは過去10年間、世界の海外直接投資(FDI)成長の原動力であり続けたものの、2020年の外国直接投資においては25%の縮小(1,360億米ドルへの減少)を記録しています。
アセアンの最大のFDI受入国であるシンガポール、インドネシア、ベトナムの順で、2020年のFDIは減少を記録しました。
具体的には、シンガポールへのFDIは21%減(910億米ドル)、インドネシアは22%減(190億米ドル)、ベトナムは2%減(160億米ドル)でした。
タイでは、タイ最大の財閥のひとつであるチャルーンポックパーン(CP)グループが、英国の食料品店テスコのタイとマレーシアの事業を105億7,000万米ドルで買収したことが響き、FDIはマイナス60億米ドルに減少しました。
マレーシアのFDIは55%減の30億米ドルでした。
カンボジアのFDIは、金融分野への流入により、36億米ドルと横ばいとなった。ミャンマーでは、FDIは34%減の18億米ドルに落ち込みました。
アセアンで見られた大規模なFDIの縮小は、世界中で見られたほとんどのFDI縮小と同様に、相次ぐCOVID-19の感染拡大、持続的なロックダウンと隔離措置、出入国制限、サプライチェーンの混乱、企業収益の低迷、経済の先行きの不透明さ、グローバル投資計画の遅れなどが起因していると思われます。




次回は、アセアンにおけるRECP(地域的包括的経済連携協定)とそのメリットについて、お伝えします。