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ASEAN in FOCUS-17:グローバル投資家にとっての「微笑みの国」。タイ

タイ
インフラが比較的整備され、自由貿易経済で、一般に投資促進政策がとられているタイは、国際貿易が盛んで、GDPの約3分の2を輸出が占めています。

タイの主な輸出品目は、エレクトロニクス農産物自動車/部品加工食品などです。
工業とサービス業がGDPの約92%を生産しています。農業部門は小規模農家が多く、GDPの8%を占めるに過ぎませんが、労働力の約3分の1を雇用しています。

タイは、中央集権的な経済計画と政府の規制のもと、さまざまな個人の自由が混在する経済システムとなっています。
現在、政府は積極的に経済を加速させ、さまざまなビジネス分野での投資を外国人に呼びかけています。この取り組みは、タイがオーストラリア、中国、インド、ニュージーランド、ASEAN加盟10カ国と結んだ6つの自由貿易協定(FTA)に支えられています。

2019年にFDI流出額が28位だったタイは、2020年には15位となりました。
一方、FDIの流入額については、それほど良い結果ではありませんでした。FDIは60億米ドルのマイナスとなりましたが、これはタイ最大の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループが105億7,000万米ドルでイギリスの食料品スーパー「テスコ」のタイとマレーシアの事業を買収したことが大きな要因です。

タイは、将来的なFDIの増加に対応するための対策を講じており、特に経済をイノベーション主導型モデルに移行することを目指す「タイランド4.0」では、医療産業を投資の優先分野と位置付けています
投資委員会は、タイをアジアの医療ハブとするために、医療分野への投資を積極的に推進し、この目標を達成するためにFDIに期待を寄せています。
タイは医療産業への投資を加速させるため、法人税を3年間50%削減するなどの新たな優遇措置を発表しています。
現行法ではすでに、適格投資家に対して3年から8年の免税措置を提供しています。2020年からは、医療部品または医療機器の製造業者は、機械の輸入関税が免除される可能性があります。

また、医療用マスクや医療機器の製造に使用される不織布を製造する企業には、追加の税制優遇措置が提供されています。
タイは国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development)より、医療関連のトレーニングや開発に力を入れていることが評価されました。
例えば、タイのチュラーロンコーン大学では、産業薬学を専門とする高度な教育と包括的な実習プログラムが用意されています。

タイは、FDIを利用して大量生産を促進する革新的な取り組みも評価されました。
2020年、イギリス・スウェーデンの製薬会社アストラゼネカは、タイに拠点を置く官民パートナーシップであるサイアム・バイオサイエンスに、同社のCOVID-19ワクチンの製造ライセンスを承認しました。
タイが地域のワクチン生産拠点として台頭するというビジョンを持つタイ政府の現地調達へのコミットメントが、IPライセンス取得の実現を可能にしました。

タイに進出すべきポイントは次の通りです。

  • インド、中国、ASEANとの有益な貿易関係
  • 生産性の高い労働力手頃なオフィススペースを備えたコスト競争力のある立地
  • 近年APACで最も安定した通貨(タイバーツ)
  • FDIを促進するための政府の政策の現状と今後

【ASEAN in FOCUS-18:アセアン市場概況:ベトナム】に続く