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ASEAN in FOCUS-36:中国本土の地域計画へのテコ入れ

中国本土の地域計画へのテコ入れ
中国の最大の課題は、外資依存のバランス調整余剰労働力の整備、そして変化する地政学的情勢への対応です。
中国が世界最大の消費者を抱える、「中所得国」の仲間入りをした今、外資への依存度を下げ、イノベーションと生産性の向上に努める必要があります。
同時に、労働力余剰社会から労働力不足社会への悪影響を避けるためにも、高齢化社会に焦点を当て、より若い労働力を育成するためのプログラムに投資することが必要となるでしょう。

中国の労働力がグローバル経済のニーズに対応するためには、これまで以上に強力なソーシャル・セーフティ・ネット、教育・職業訓練プログラムなどが重要となりますが、これにより中国におけるビジネスの関心が国内製造業から他の産業へと移る可能性があります。

このような変化に伴い、中国の製造業企業は、国内での物品調達や生産を止め、別の市場に軸足を移すことを検討するかも知れません。
中国国内のコスト上昇、貿易摩擦、パンデミックによる混乱などを背景に、米国のグローバル製造企業は、数年前から中国から近隣のアセアン諸国に製造拠点を分散させています。

米国企業と同様に、中国以外での生産・調達先を探している中国企業にとって、アセアン諸国がターゲットとなる可能性が高いと言えます。

一帯一路構想やグレーターベイエリアなど、中国の壮大な経済開発プロジェクトは、世界的な相互連携と協力を強化する必要があります。
アセアン諸国は過去10年間、中国からの大規模な投資により、国際インフラ契約などの資本と非資本の両面で既に恩恵を受けてきました。
特にカンボジアラオスなどは、中国からの直接投資が数年連続で最大の投資元となっています。

今日のビジネス環境での多国籍企業が直面している不安定な時代において、アセアンは比較的明るい材料であり、成長機会を求めている中国の投資家にとっては頼もしい存在です。
地理的な近さ、消費者層の拡大、インフラの整備、貿易関係の強化などから、今後数十年間において、中国本土の多国籍企業によるアセアンへの投資の急増が予想されます。

アセアンは、主要な貿易ルートの合流地点に位置しており、中国は、パンデミックによる世界貿易の混乱や、米国との貿易摩擦の影響を避けるために、アセアン諸国は海外進出を目指す中国本土の企業の主要な投資先として位置づけられています。
そのため、中国からのアセアン諸国への投資は、2035年までに3倍以上の5,000億米ドルに達する可能性があります。

【ASEAN in FOCUS-37:アセアンへのゲートウェイとしてのシンガポール -その1】に続く