前回は【取締役会の目的】についてお話しました。
では、より良い取締役会を開催するために押さえておくべき、もっともシンプルなものは、何でしょう?
今回は、【データと情報の違い】についてお話します。
優れた取締役会の中心にあるものとは、何でしょう?
優れた取締役会の中心には、整理された情報があります。
会議の出席者が、構造化された情報を必要十分に準備していれば、会議に参加することが大切です。
なぜなら、情報があれば、正しい判断ができるようになるからです。
データ vs. 情報
データと情報の違いとは何でしょう?
■データ ■
データとは、処理する必要がある、生のまとまりのない「事実」のことをいいます。データは単純で一見ランダムに見えるものもあれば、整理されていないと役に立たないものもあります。明確なメッセージや結論のない100ページもの文書や1,000行のスプレッドシートは、単なるデータに過ぎません。データは、読み手のために処理・構造化・構成されていません。
■情報■
情報とは、それを「コンテクスト(文脈)」に示される形で処理・構造化・構成されたものです。人間が大量のデータを短い時間で深く読み取ることができることは、ほとんどありません。そのため、「情報」として有効となるように、本質を抽出する必要があるのです。
情報は、次の4つの条件が満たされている必要があります。
- 現在進行中で
- タイムリーで
- 正確で
- 安全である
また、取締役会の生産性を上げるための4つの要素は、次の通りです。
- ボード・パック(取締役会に配布される書類一式)が、取締役会での議論を念頭に置いて作成されていること
- 取締役会の出席者にとって必要な情報が提供されていること
- 主要な情報が前半に、その情報のサポートとなるデータが後半に掲載されていること
- データが多すぎないこと
データと情報の違いを理解したところで、取締役会を構成するための基本の基に立ち返ります。
次回は、より優れたガバナンスを実現する取締役会を構成するために重要な2つの要素、「議題(アジェンダ)と出席者」に焦点を当てて解説します。